職を辞してゲートを開放する警官。

2015/05/06 マケドニア・首都スコピエ


宿は大統領官邸から300mのとこにあるのですが部屋で休憩してると何やら騒ぎが聞こえてきたんで外に出てみました。

すると白亜の建物の前には人が集まってきている様子。

何かな?

と思って見ていると続々と集まってきました。

どうも反政府抗議デモのようです。本当ならこの手のデモには近寄らないのが観光客のセオリーなんですが、どうも危険な感じはしないんです。警備してる警察も自動小銃とか持ってないし。まあ一応退路だけは気にしながら見てました。


官邸前は常設の鉄柵があって中には警官が何人も整列して立っていて、その外から抗議のシュプレヒコールをあげていました、最初は。


するとその内一人のおばさんが手に抗議文らしい紙を持って柵を乗り越えていきます。

整列している警官にそれを持って何やら訴えかけている様子。警官は横を向いて

「俺は何も聞いてない」

みたいなそぶりを見せ、他の警官が駆け寄ってきておばさんを柵の外に押し出そうとします。すると一人、二人と柵を越えてくる若者たち。その数は10人以上になり、皆両手を上に高くあげてズンズン官邸入り口へと突き進んでいきました。


すると後ろで待ち構えていたヘルメットと透明な縦持った機動隊員みたいな警官がずらっと入り口前で人垣を作り彼らを入れまいとする。

その間にもう続々と柵を乗り越え、皆両手を高くあげて入り口前は人だかりになってしまいました。

彼らは国旗や、なにかのプラカードも持っていたのですがあいにくさっぱり読めません。

「何やってるの?」

と周りの人に聞くとようやくわかりました。

「ここで警官が市民4人を殺した事件があって、それの抗議デモだ」

との事。もうすごい喧騒と、それに僕の英語力の低さもあってそれ以上は聞けませんでしたがおそらく警官は罰せられてなかったりするのでしょう。

マケドニアがどんな政治なのかはさっぱりわかりませんが、警官が市民殺してこうしてデモが起きているというのはやっぱりあんまり良くないんでしょう。

そしてそうした政治に対するこうしたデモ、いやなんだかかっこいいなって単純に思ってしまいました。「自分の国良くしたい」っていうすごいパワー。

官邸の中まで押し入ろうという雰囲気はそこには無いものの、やはり盾持った警官隊はずらっと並んで彼らと対峙しています。

シュプレヒコールが次々に起こるうち、盾を持った一人の警官がスタスタと隊列から離れて前へ進みだしました。


なんだ?


と市民。彼らを押しのけ、その警官は鉄柵まで行きその鍵をあけて柵を開放してしまいました。

その瞬間、市民は彼に抱きつき、ヘルメットにキスし、

「ブラボー!ブラボー!」

のコール。

彼はそのままスタスタ歩き、町の方向に歩いて消えてしまいました。

ただの業務命令で柵を開けたのではなく、市民のその感激っぷりから彼は独断であけたに違いありません。

きっと警官が市民殺して罪に問われないという不条理に、自分がそのデモの警備にあたっているというのが耐えられなかったのでしょう。

ものすごく胸が熱くなりました。


結局コソボは諦めずを得ず、来た道を戻るハメになったマケドニア首都スコピエですがこんな男気のある警官を間近に見れて心の底から


「来てよかった」


と思いました。


それではまた。次はセルビアに向かいます。


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