旅立つ前、準備中はネットで先達者たちのブログで「装備欄」を見てあれこれ考えるのが好きであった。しかし、彼らが旅を終えて
「この装備はどうであった」
とか
「次をやるならばこういう装備で行ってみたい」
とかって書いてるのをあまり見た記憶がない。
今後も続々と自転車世界一周野郎(あるいは女子)が旅立つことであろう。彼らに向けて、
「もし次にもう一度自転車世界一周するんならこういう装備でやる」
というのをここでまとめてみたい。
1・自転車本体及び周辺装備
2・自転車用工具・予備部品等
3・衣類等
4・キャンプ用品等
5・デジタル用品等
6・バッグ等
7・その他
1・自転車本体及び周辺装備
フレーム | 700cツーリングバイク |
コンポ | デオーレ |
ブレーキ | シマノ機械式ディスクブレーキ |
ホイール | 手組み |
完成車でも良さそうなのが沢山あるが、完成車のホイールは総じてハブが安物である事が殆ど。ゆえに手組みホイール+フレームから組む、というのが良いと思う。
①フレーム
700cのディスクブレーキ用フレーム(材質は問わず)
フレームは700cのディスク仕様のツーリングバイクを選ぶ。
26インチに比べて巡航性能や凸凹に強い。
世界中いろんなところでいろんな国のチャリダーと会ったけれど700cのバイクの方が多かったように思う。だいたい7対3くらい。
でも日本のネットを見るとまことしやかに言われているのが
「世界一周には世界中でどこでも手に入る26インチタイヤのバイクが正解!!」
っという事。
これ、もう実際の世界からは陳腐化してる答え。10年20年前ならまだしも今(2016年現在)では700cのタイヤはスポーツサイクルショップがあるような国や地域では結構どこでも手に入る。
「アフリカとかでは700cなんか手に入らない!!」
というのは今でも一緒だがシュワルベマラソンなりパナレーサーリブモなり、丈夫で持ちが良いのを計画的に履き替えていけばいい話。予備も一本持っておけば問題ない。
「その予備もダメになったらどうするんだ?」
という心配性な人はそもそも自転車長期旅行は向いてないから止めといた方がいい。アフリカの貧しい国で手に入る低性能な26インチタイヤをあてにするような旅はしちゃダメだ。
あと材質に関しても
「もし折れたりしても現地で修理できるクロモリがベスト!」
なんて言われてるけど、折れたりヒビが入ったらその時点でもうそのフレームは終わりだ。修理して使うなんてとても考えられない。修理したトコロが突然ポキって折れたりしたら命すら落としかねない。旅を続けるんであれば新しいフレームを調達したりするしかない。
フレームが折れる、なんてのは一般的な形のバイクではあまり聞かない。(僕のヤツは折れたがこれは力学的に無理のあるリカンベントフレームのせい) 「フレームが折れたりしても大丈夫なようにクロモリ選ぶ」というのは心配しすぎってものだ。
②コンポ
絶対にシマノ製。9速。グレードはあまり問わない。
カンパで行く人は少ないと思うが、スラムは交換用部品は店頭で置いてるのはほとんど見た事がない。まあスラム選ぶ人はいないと思うが。
シマノのMTB廉価グレードでも最近は9速化しているので、9速チェーンはチェーン置いてる店だったらほぼ必ず置いてる。10速だとちょっと入手が難しくなるかも。耐久性に関しては僕は1万キロに一度交換。その間切れたりは一切なかった。結構マメにチェーン取り外して(コネックスリンク装備)ガソリン入れたペットボトルでガシャガシャ洗ってたのが良かったのかも。
デオーレ装備していたが、ぶつけて不調になったリヤディレイラー以外、変速コンポ自体に故障はなかった。常に操作しているのでシフターだけは廉価グレードは避けた方がいいと思うがその他は廉価グレードでも特に問題ないと思う。
④ブレーキ
シマノ機械式ディスク一択!ブレーキパッドの入手容易性がダントツ。マウンテンバイク扱ってる店ならたいてい売ってるし安い。AVIDのパッドは異常に高い。
南米の山の中でよく使うリヤキャリパーが壊れて、フロントキャリパーをリヤに移設できたのは機械式ディスクだったからこそ。油圧だったら出来ない芸当。
⑤ホイール
手組み、XTハブ・DTスイススポーク・36穴mavicリム
この構成で一度も折れもフレもなく走破出来た。ただし組む人の腕に大きく左右されるらしい。同じ構成の先輩チャリダーは二回ほど折れていたようだ。知り合いのチャリダーはオーダーメイドフレームの有名な店でホイールも組んでいたが、日本の自宅から空港まで自走の途中に折れ、そして現地で出発して数百キロでまた折れていた。彼のホイールの構成は聞いてないが、自転車フルオーダーで数十万円だったのでホイールも安物ではなかったはず。組む人の腕で性能がまったく変わる、いい例だろう。
2.自転車用工具と予備部品
ポンプ | 大小2本 |
予備タイヤ |
折畳式 |
予備チューブ |
1本 |
折畳工具 |
チェーン切り付折畳工具 |
タイヤレバー |
使い慣れたもの |
ラジオペンチ |
そんな使わないので百均でも良い |
針金 |
なくなっても現地で簡単に手に入る |
結束バンド |
補修や補強によく使うけど、現地で探すのはちょっと手間がかかるので多めに持ってくのが良い。 |
ビニールテープ |
何かとよく使う。現地でも簡単に手に入る。 |
予備ケーブル |
変速ケーブル予備1本。他のケーブルはほぼ切れないんで現地の自転車店で適当な時期に交換しておけばいい。 |
ミッシングリンク |
チェーンを手で簡単に取り外しできるやつ。予備一個 |
※これらに加えてディスク車だとディスク取り外し工具も必要。
工具は重いし嵩張るし、できるだけ減らしたいところ。僕の旅ではちゃんとしたアレーンキーとか持っていったけど、トピークとかちゃんとしたメーカーだったら折畳工具でも大丈夫だと思う。
ポンプは絶対に2本必要。パンク修理の時にポンプ壊れてて自走不可能になったってのはよく聞く話。実際僕の時も2本の内1本のポンプは不調になっていた。
折畳の予備タイヤは収納性にこだわるあまり細いもの選んでしまうと、細すぎて普段使ってるチューブが入らない事があるんで注意が必要。
リヤ変速ケーブルは1万キロ毎に切れそうになりその都度交換したが、それ以外は1万キロ時に全交換して帰国の3万7500kmまでホツレもなかった。だもんで、リヤ変速ケーブルは予備1本、それ以外はスポーツ自転車店がある大都市とかで予防措置的に交換しておけば予備はいらないんじゃないかと思う。
ミッシングリンクはチェーン交換した後も1~2回そのまま使ってたけど、特に問題なかった。一つにつき2-3万キロ使えそうなんで予備一個あれば安心。
3.衣類等
衣類は好みもあるけどやっぱりここでも重視は最低限の量にするという事。衣類は嵩張るし、真空パックで圧縮しようにもパックはすぐ破けて使えなくなる。旅で使ってオススメなのは以下
・モンベルのサイクルパンツ
裾にベルクロついてて便利。ストレッチ性もあって漕ぎやすくシルエットも良く街歩きも違和感無い。だいたい10ヶ月履き続けると膝が抜けて裂けてくるんでその都度日本から送ってもらってた。
・モンベルの化繊の長袖Tシャツ
暑い地域を走る時にはコレ一枚で、寒い地域では肌着にと大活躍。日焼けで色あせてきたし生地も傷んできたけど3年使えた。
・4キャンプ道具
これはチャリダーが何を買おうか迷う所だろう。3年旅してどんなキャンプ道具が良いのか、語っていきたい。
・テント
ダンロップ二人用ツーリングテント
居住性、収納性、耐久性、値段、どれを取ってもバランスが良い。日本帰ってきてモンベルの競合モデル買ったけどモンベルの方が値段が安いだけに負けてる感じ。暑い所でテント張る事も多いんで両サイドに開放出来るこのテントはめっちゃ良い。MSRの様にインナーが全面メッシュのものの方が涼しいが、それだと寒冷地で風のある所は寒くってやってられないと思う。ただしダンロップのこのテントは付属のペグがデカいプラスチックペグなんでモンベル等のアルミペグに買い換える必要あり。そして底面の防水性がいまいちだけどコレは下に敷くグラウンドシートがあれば大丈夫。
・マット
寝心地や収納性でエアマットがオススメ。エアマットはパンクが心配かもしれないが3年使ってパンクは数回。いずれも付属のパッチですぐに修理出来るのでそこまで心配する事もない。僕使ってたのはモンベルのコンフォートシステムパッドだったが寝心地は良いものの1~2年程度で接着剤が剥離してきて使用不可能になるのが難点。一時帰国した時や旅終了時とかにモンベル店舗持っていくと無償交換してくれたのだが、長旅には向いてない。モンベルよりももっと高価になるがサーマレストのマットが良いだろう。これは剥離しないらしい。ちなみにエアー式の枕は寝心地めっちゃ悪いんで不要。衣類を布製の袋に詰めて枕にするのが良い。
・寝袋
行くルートと季節にもよるけどモンベルの♯3クラスの寝袋が収納性と保温性のバランスが良いと思う。僕のはナンガオーロラ600。モンベルだと♯2相当だと思われるが僕の行ったルートでは過剰性能だったと思う。デカいんで圧縮しても邪魔だった。シュラフカバー不要という売り文句も、テント内が結露するという状況もほぼ無くその性能も要らなかった。
・寝袋インナーシーツ
寝袋は旅先じゃあ簡単に洗えないんであった方が絶対良い。モンベルのシルクのヤツは高すぎるんでドイターのんで十分。1-2ヶ月に一回、宿泊まった時とかにシーツ洗濯するとびっくりするぐらい汚れてて毎回びびる。
・クッカー
大きければ大きい程使い易いがその分収納性は悪くなる。僕のものはエバニューの15cmの鍋と18cmのフライパン。これで過不足ない大きさだった。焦げ付かないように、とフッ素加工したもの選んだがそんなものすぐにハゲて効果なくなってくるんでそこにこだわる必要は全く無い。でもモンベルのフライパンは底面が凸凹になっていて使用後に拭き取り難いんでやめといた方がいいかも。野宿中は洗えずティッシュで拭き取るだけなんでそこは重要。ちなみにチタンは軽いけど熱伝導率の関係ですぐ焦げて調理はめっちゃやりにくいんで選ばない方が無難。
・ヘッドランプ
単三電池1本の物が小さと光量のバランスが良く使いやすい。単四3本のものも結構あるが「3本」って充電本数の関係で使いにくい。ソーラーチャージャーでエネループ充電出来るのはGaolzero のガイド10プラスくらいなんだけれども、これが4本入れないと充電出来ない。1本だと4本使い切った頃に一気に充電できるけど、3本だとすごい充電しづらい。
使ってたモンベルのものは白熱灯色LED、白色LED弱、白色LED強の三段階で使い易い。2年まるまる使ってスイッチ部分が反応しなくなったんでその位が寿命なんだろう。
・コンロ
これはMSRのガソリンコンロの二択。つまりドラゴンフライかウイスパーライトか。SOTOのヤツは絶対に選んだらダメ。すぐにバーナーヘッドの上に通る真鍮色のパイプの中が詰まって使えなくなる。説明書にも燃料使用20リットル毎にこのパイプを交換するようにと指定されてる位。アフリカ一緒に走った友人がコレ使ってたが2~3ヶ月に一回交換必要との事。そんな物長期旅で使えない。
ではドラゴンフライかウイスパーライトかであるが、使いやすいのは前者だと思う。ウイスパーライト比べて収納時ちょっと大きいというのがデメリットだけど、それ以外に欠点は無い。もしもう一度長旅するとしてもドラゴンフライ選ぶと思う。基本的なメンテ道具は付属してるんで時折分解清掃してるとずっと順調だった。なお消耗品のOリングは3年使って一度も交換しなかったがもった。でも予備で全てのOリングは持参した方が良い。総代理店のモチヅキのHPから注文できる。エクステビションサービスキットというのも売っていてついつい買いそうになるが、ドラゴンフライ付属のサービスキットだけで普段のメンテは十分こなせるので買わなくてもいい。
・卵ケース
ヨーロッパとかチリやアルゼンチンとか先進国もしくは準先進国なら卵は12個パックとかで日本と似たような簡易ケース入りで売ってるんで、ケースは不要だが途上国だとバラ売りなんで卵ケース必須。ケース無しで卵持ち運びはほぼ不可能。ちなみに卵ケースの中に入れても卵の大きさが小さいと中で踊って割れてしまうんで紙とかいれて固定しておくこと必須である。
5・デジタル用品
現代人にとっては切っても切り離せなくなったデジタル用品。これがなければもっと荷物減るんだけれど、もうすでにコレら無しでは旅が出来なくなったのが辛い。
タブレット | ASUS 7インチSIMフリータブレット |
折畳キーボード | |
カメラ | ちょっと高めのコンパクトデジカメ |
予備スマホ | 日本で使ってた適当なもの |