入国はチャイを飲んだ時から。

少し肌寒さを感じるコルカタでジンジャー入りチャイ。

フッと体の強張りが解けるのを感じる。

 

イミグレーションで係官にスタンプを押した瞬間ではなく、

チャイを飲んだ瞬間が旅人にとってのインド入国だ。

17日バンコク発コルカタ行のフライトは午後10時55分。余裕を持って午後4時頃には宿を出発しました。数日前に実際に走ってルートを確認していたのでさほど不安もなく走ります。

しかし宿を出るとすぐに渋滞につかまりまったく前に進まない。自転車なら合間を縫うように走れるのですが、この日の僕の自転車は両脇に梱包用ダンボールを吊っている事もありなかなかそうもいきませんでした。歩道を押していったり、押しながら走ったり。自転車というより手押し車の一種に成り下がりながら25kmの道のりを3時間かけて空港へ到着。

かつてのタイの玄関口ドンムアン空港はその役割をスワンナプーム空港に譲り、今ではLCC(格安航空会社)

専用空港として働いています。玄関口時代と比べると格段に奇麗になっていてLCC空港にありがちな倉庫のような質素な印象はありません。

 

その入り口の前でさっそくダンボール梱包を始める。まだまだ時間には余裕があるとはいえ、生来の気の小ささがここでも強い影響を及ぼして焦る焦る。傷や破損を防ぐ為に完璧に梱包すれば2時間はかかるのですがこの時は破損を防ぐ工作を最小限にして1時間で済ませてしまいました。

出来上がった巨大なダンボールも見るからにやっつけ仕事感が溢れるものに。

 

 

 

それをカートに載せてチェックインカウンターに行くと既に受付は始まっていました。ドキドキしながらダンボールを計量台に載せる。自転車料金は25kg分しか払っておらず、これを超過すると1kg毎に2000円も払わないといけません。全体料金が1万6000円なので非常に高い。

 

 

23.4kg。セーフ。

 

 

同じ便に乗る中国人バックパッカー「チャオ君」とインドについて話をしながら搭乗を待ちます。今の日本では中国に対してかなり偏った報道ばかりが目立ってしまいます。政府同士やビジネスの上ではどうだかは知らないが、こうやって個人と個人で話すと中国人というのは親しみ易い人が多いように思います。なんせ日本人と同じ顔、中国人だって同じ顔なら話し易いと思ってるのではないかと感じます。

 

 

搭乗時間は約3時間。LCCの背もたれも倒せない狭い席でうとうとしてるウチにコルカタ空港に到着。現地時間で深夜12時。

 

 

入国審査と荷物受け取りを済ませた時には1時過ぎになっており、よもやこの時間から自転車組み立てて街へ出るなんて事は出来ません。チャオ君も夜が明けてから出るそうで他の日本人バックパッカーと共に空港で仮眠しました。

 

 

もっとも仮眠といっても僕だけはキャンプ道具があるんで他の2人には申し訳ないがマットと寝袋広げてしっかり寝させてもらいましたが。

 

夜明けと共に僕は一足先に起き出し、自転車の組立。組み立ててると色んな人が入れ替わり立ち代り見物にやってきます。空港を利用するというインドからすると社会的には上層部に属している人たちだけあってそのやり取りもいわゆる

「うっとおしさ」

というのが無く、スマートな印象を受けます。

 

時間に余裕もあるので組立は慎重にやり、だいたい1時間半ほどで完成。完成すると待ってましたとばかりに

 

「乗りたい!」

 

と目をキラキラさせるインド人に順番に乗ってもらい、記念撮影をこなします。ここらへんは変な自転車乗りとしての義務でもあるし、乗って喜んでくれるのは素直にこちらも嬉しい。

 

チャオ君は日本人とタクシーをシェアしてコルカタの旅行者街サダルストリートへ一足先に出発しました。

 

こちらは日本人として始めてインドの地でリカンベントを漕ぎ出します。さぞかし人の注目を集めるのだろう。先ほどまで話していた空港の上流階級インド人とは違うぞ、なんて意気込みながら走り始めたのですが

 

アレ?

 

そこまでみんな見てこない。どうやら大都会の朝8時という事で皆さん通勤に忙しい様子でした。

 

サダルまでは15km。1時間程で到着です。

今回は既にインターネットで1泊目の宿を予約していてスムーズにチェックイン

 

知っている店がまだ同じ場所に同じ様子でやっているのを見て安心したり、相変わらず5分歩けば数人親しげに話しかけてくるインド人が居たり、

 

「変わらないなあ」

 

と思いながらチャイを啜る。

 

リカンベント旅インド編、スタートです。


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