聖地カトマンズについに到着。

カトマンズは周囲を険しい山で囲まれた盆地にあり、どの道を通ろうとも山を越えなくてはなりません。

一番密接に関係しているインドとを結ぶ国の大動脈たる道路ですら山肌に這うよう1.5車線の道。

 

 

それでもカトマンズに行くにはその道が一番整備されている事もあってバスやトラック等は必ずその道を通ります。インドと行き来する旅行者も殆ど全てがその道を通っているはずです。

 

勾配もまだマシですんで出来る事ならその道を通りたかったというのが本音ですが、僕はネパールの東の端から進んできた関係で、その道を通るには140kmも迂回せねばなりません。同じように東から進んできたバスやトラックは当然その遠回りたる140kmを走るのですが、僕は自転車。とてもそんな遠回りなんて出来ません。

 

 

 

と、いう訳で前回の記事にもアップした通りカトマンズまでのショートカット路を行く事にしたのです。地図でみるともうなんだか凄いうねうね道。蛇花火みたいです(←最近でもあるのかなこの花火)

 

だいたいの道はこんな感じ。しかも急勾配。平地専用マシンたるリカンベントで行くなんてアホだと思った。
だいたいの道はこんな感じ。しかも急勾配。平地専用マシンたるリカンベントで行くなんてアホだと思った。

そんな道を見ると普通なら気力が萎えるところですが、今回は違います。なんたってその道の先にはるのは楽園カトマンズ。そこには何軒もの日本食レストランがありカツカレーや豚の味噌炒めが僕を待っています。

 
(最初の1時間は道も比較的広く勾配も緩やかで快適なサイクリング)
(最初の1時間は道も比較的広く勾配も緩やかで快適なサイクリング)

起点となる街ヘトウラを出発し早くも1時間過ぎで既に漕いで上るのは不可能な坂道になり、おまけに路面の状態は最悪。

 

「かつて舗装してあった」

 

という痕跡を感じるだけの道です。ふかふかのパウダーサンドに足がうずもれたりゴロゴロとこぶし大の石が突き出ていたり。

(時折道の中に小川が流れてる)
(時折道の中に小川が流れてる)

その上で強烈な勾配。もはや自転車を押すのではなく押し上げるという状況でした。

(上り道で出会った少年。ペダル回して上るのを手助けしてくれた。「チャイルドアシスト?」)
(上り道で出会った少年。ペダル回して上るのを手助けしてくれた。「チャイルドアシスト?」)

初日はヘトウラの海抜500mから1900mまで上り、一気に1500mまで下りた所で午後4時。

 
(今までの最高高度1900m。)
(今までの最高高度1900m。)

山深い谷底みたいな所で暗くなるのも早そうでしたし、キャンプ出来そうな所を探す事にしました。

ちょうどその谷は大きなダムのある所で、ダムの下の方へと作業道が伸びていたのでそこでキャンプ。こんな山奥でしかも夜中に作業道に誰も来るはずもありませんし。ただダムというのは独特の不気味さがあるのでその点がちょっと怖かったですが。

 
(下手な安宿より実はよっぽど快適だったりするテント泊)
(下手な安宿より実はよっぽど快適だったりするテント泊)

2日目はカトマンズ到着の日。益々力が入りました。深い谷には山肌に美しい段々畑が広がり朝日がそれらを照らし金色に輝くようです。

(これはコンパクトカメラで撮った昼の風景。朝に一眼でも撮ったけど撮影技術が全然なくって上手く撮れなかった)
(これはコンパクトカメラで撮った昼の風景。朝に一眼でも撮ったけど撮影技術が全然なくって上手く撮れなかった)

その光景を見て、

 

「自転車で旅してよかった」

 

心の底から思いました。世界遺産でもなく、観光地でもありません。外国人が見にくるという事もない場所。同じ風景をバスで見に来ても感動しないかもしれない。自転車で越えてきたからこそ見える光景がある、僕はそう思うしだからこそこうして旅をしています。

 

 

 

そんな感動で心震える日でしたが、当然今日も上りです。1500mから一旦1100mまで下り再び1700mまで上り。頂上まで到着すると遥か遠くにヒマラヤの姿が。

 

そこから下っていくと眼下にくすんだような赤いレンガ色の建物郡。

 

中世の雰囲気を色濃く残すネパールの首都、カトマンズです。

 

 

カトマンズの旅人の集う地タメルに着いたのは午後4時位。

2日間汗まみれ砂埃まみれになって、タメルの中心地タメルチョークでゴールの1枚。

これまではほとんどが平坦な道で毎日宿に泊まれて、とても「アドベンチャーサイクリング」ではなかったのですがこのルートはさすがに辛く、それでも「俺冒険してる!」とその辛さが嬉しくも感じるものでした。それだけに着いた時は感動もひとしお。

 

「着いたー!」

 

と僕の声が響き渡ったカトマンズの夕暮れでした。


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