タイ深南部→バンコク自転車旅 2010/05

日本からも渡航者の多いタイ。南の島でのダイビング、遺跡、チェンマイからのトレッキング。枕詞のように綴られる「微笑みの国」。しかしそんな国にも銃火と爆弾が日常の隣にあるという地域があるのはほとんど知られていない。

 

仏教国タイにあって、ムスリムであるマレー系住民が多く住む地域。反政府武装勢力が軍・警察はもとより地域のタイ化を進めるとして公立学校まで襲撃され年間数百人が殺害されている。

 

僕はそんな地域を自転車で駆け抜けた。

 

正直言って、この旅をここで紹介するのは迷いがあった。このような地域に訪れる行為に対して批判はあると思う。

 

けれど、そのような地域の実態を知りたかった、そして伝えたかった。

 

「そんな事はジャーナリストがすべき事だ」

 

そう、その通りだと思う。しかし日本のジャーナリストがこの地域の実際を日本に伝えてはいない。僕はジャーナリストではない。

 

けど、僕はタイが好きだ。そしてこの地域に興味を持った。自転車で旅したいと思った。この地域を肌で感じたかった。その感覚を伝えたかった。争いをモニターの中だけの世界と捉える風潮に疑問を覚えていた。安全なところに居て、争いを批判し正論を唱えるのが嫌だった。

 

僕はただ数日間で通過しただけだ。伝えられる事は少なく、その範囲も限られているとはいえ、まさしく現地を肌で感じた。

 

 

「もし何かがあったらどうするつもりだったんだ?」

「何かあって周りに迷惑をかけたらどう責任を取るつもりだったのだ?」

 

重ねて、この種の批判はある事は承知だ。

無事帰ってきたからこそこうして書ける。

 

批判に対して僕は有力な反論を持ち合わせてはいない。「興味本位で行ったばか者」と言われればそれまでだ。だが、どんな社会にも一定程度こうした道を外れたばか者がいる、どうか温かい目で見てやってほしい。

 

 

タイツーリング走行図
タイツーリング走行図

<<旅の概要>>

 

バンコク→スンガイコロク(寝台列車・鉄道移動)

 

日本では自転車持参での鉄道移動は分解袋詰めした輪行という事になるがコレは日本独自のもの。タイでは連結した貨物列車に貨物料金を支払ってそのまま載せてくれる。貨物料金はこの時は500円位。寝台列車の乗車賃は3000円位だった。

 

スンガイコロク→バンコク(ロードバイク移動)

 

1400km。10日間位。意外だが自転車旅にとって状況は日本より格段に良い。幹線道路は日本の高速道路のようで路肩が一車線程あり安全に走行出来る上、車も少ない、アップダウンもほとんど無い。10-20km毎にガソリンスタンドがあり水や食糧の補給が出来る。セブンイレブンが併設されている事も多く温かい肉まん等まである。幹線を外れると路肩は狭くなるが舗装は良くそもそも車が少ないので走行に支障は無し。商店は道路沿いにあるのでその点も心配ない。

 

この旅ではテント等は一切持参せず、パンク修理道具と携帯工具、雨具、着替えのみの軽量化を第一にした。

 

そこそこの町なら必ず廉価な宿泊施設があった。

 

タイでは首都バンコクにはロードバイクも扱う専門店があるのだが、南部ではそうした店は見かけなかった。ソンクラーにMTBを扱う店を一軒見かけたのみ。ロードバイクではタイヤやチューブの補給は難しいと思われる。

 

 

以下、写真を交えて旅を振り返った当時の記録を抜粋であるがここに残しておく。

 

 

第一章  始まりの地へ    
第二章
 生きている
第三章
 最後の町
最終章  扉をたたく時

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