第三章 最後の町

バンコクまであと60キロ。順調に行けばあと2時間ほどの距離。

サムゥ・ソンクラム(Samut somgkhram)

という町で宿を取る事にした。すでにスンガイコーラクから1300キロ余り走って、毎日110-160キロ走ってヘトヘトで、けれどバンコク というゴール目指して走り続けたのだが、ゴールを目前にして完走できるという嬉しさと、この旅が終わるという寂しさで少なからず感傷的な気分にならざるを得なかった。

楽しい思い出も、サっと後ろへ過ぎ去っていくからこそ次の楽しみがやってこようというもの。いつまでも同じ楽しい時間に接していたら、渋滞してしまって次の楽しみが僕の前へとやってこない。

そういう訳でそんな感傷的な気分を割り切って今回僕にとっての最後の知らない町の散策へと出かけた。定番のように市場へと向かう。

なんとなく通路が変だ
なんとなく通路が変だ

何か通路が線路っぽい気が・・・・。そのまま進んでみると、

完全に線路
完全に線路

やっぱり線路。廃線跡がそのまま残ってんのかなと思ってた。

すごい活気がある
すごい活気がある

お客さんすごく多いし、活気ある市場ってところ。

急に慌しくなってきた
急に慌しくなってきた

あれ?何かみんな急に片付けだしたような。何やら「ロットファイ」とか言ってる。それって確か・・・。

通路だけすっかり奇麗に
通路だけすっかり奇麗に

すっかり綺麗に。まさか。

あれ?なんだかガタンゴトンと音が聞こえる
あれ?なんだかガタンゴトンと音が聞こえる


え?まじで?

や、やべえ!!
や、やべえ!!


ちょ、ちょっと待って!あ、あたる!

マジで当たりそうになる。
マジで当たりそうになる。

うわ!あぶね!かすりそうになった。市場の中なのになぜ列車が?いや、っていうか線路になぜ市場が?線路沿いにスラム街っていうのはよくあるのだが、ここはそうじゃなく、ちゃんとした市場。いやー、命に危機と引き換えに「他の外国人ツーリストには知られてないとこ発見しちゃったぜ」という満足感には浸れた。

何事もなかったかのように
何事もなかったかのように

通過後は即座に市場再開。なんとも逞しいもの。この後列車の行った先を歩いていくと100mほどで駅に停まっていた。どこからの路線なのか知らないが、とにかくここは終点らしかった。

 

この旅の終点もあと少しだ。

 

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